こんな症状ありませんか?
尿がでにくい、回数が多い
- 男性の場合、多くの場合前立腺という臓器が症状の原因となっています。中高年以降に最も多い原因が前立腺肥大症です。まれに前立腺癌という病気が合併している場合もあります。前立腺癌は、前立腺特異抗原(PSA)採血で鑑別を行います(PSAが高いと言われた、の項目参照)。
- 女性特有の原因として、咳やくしゃみをした際におしっこが漏れる腹圧性尿失禁という病気があります。その他、膣からピンポン玉のように膀胱、子宮や直腸が脱出する骨盤臓器脱(POP)という病気の一症状で尿がでにくいという症状が出る可能性があります。
- 男女共通に見られる疾患としては、過活動膀胱があり、加齢などいろいろな原因でおこります。尿がたまってきたときに下腹部の痛みを伴う場合には間質性膀胱炎という病気の可能性があります。糖尿病などの生活習慣病や脳梗塞の後遺症などによって排尿に関する神経に異常をきたす神経因性膀胱という疾患もあります
尿が漏れる
- 女性に多いのが、咳やくしゃみをした際に尿が出てしまう腹圧性尿失禁です。加齢や出産を契機に出現します。骨盤底筋体操というトレーニングだけでかなりの方が治りますが、骨盤底筋体操や薬物治療が無効な方は手術を行います。
- 尿意を催すと我慢ができずに出てしまうのが切迫性尿失禁です。抗コリン薬やβ3受容体刺激薬が有効です。
急に脇腹が痛くなった
- この激しい痛みは疝痛といって尿管結石により引き起こされている可能性があります。結石が尿管を閉塞し、尿が流れなくなって平滑筋が引き延ばされるための痛みです。産道が引き延ばされる出産時の痛みにも似ていると言われています。痛みに対して、各種鎮痛剤(内服薬、坐薬、注射薬など)を使います。発熱を伴う場合は、結石が原因の腎盂腎炎を併発している場合があり、生命に関わることもあるので、速やかな外科的処置が必要になることもあります。
尿に血液が混ざる
- 血尿の種類には、顕微鏡検査で指摘される顕微鏡的血尿と見た目で分かる肉眼的血尿があります。なかでも肉眼的血尿は注意が必要です。悪性腫瘍(癌)、尿路結石、膀胱炎などの感染症、腎炎などの腎臓の病気など原因は様々です。なかでも高齢者では悪性腫瘍の存在に注意しなければ成りません。悪性腫瘍としては膀胱癌、腎盂尿管癌、腎癌、前立腺癌などの可能性が考えられます。
PSAが高いと言われた
- 「PSA」は前立腺特異抗原(prostate specific antigen)の英語の頭文字からとった略語です。前立腺癌の早期診断のため、50歳を過ぎたらPSA検診が推奨されています。PSAの基準値としては一般的に4.0 ng/mlという値が用いられています。これ以上の値では前立腺生検が必要となります。軽度上昇している4-10 ng/mlの間はグレーゾーンと呼ばれ、4人に1人に前立腺癌が見つかります。10 ng/ml以上になると2人に2人に見つかります。「PSAが高い」といわれたらぜひ泌尿器科専門医を受診いただきたいと思います。
再建手術実施しています。
骨盤臓器脱に対する手術(LSC)
尿道狭窄症に対する手術
人工尿道括約筋手術
一般・専門外来診察案内
- 外来診療日
- 月、火、金
- 外来受付時間
- 8:30 ~ 11:00
ご希望の患者様のご来院をお待ちしております。
外来医師一覧
一般・初診(午前) | 専門外来(午後) | |
月 | 猪口 淳一 | 【小児専門外来】 |
木村 隆 | 仲西 昌太郎 | |
田中 慧 | 與那嶺 智子 | |
與那嶺 智子 | 本永 葵 | |
火 | 猪口 淳一 | 【移植専門外来】 |
芦刈 明日香 | 木村 隆 | |
仲西 昌太郎 | 田中 慧 | |
本永 葵 | 角川 義樹 | |
水 | 外来休診/手術日 | |
木 | 外来休診/手術日 | |
金 | 芦刈 明日香 | 【泌尿器科一般外来】 |
仲西 昌太郎 | 中西 洋介 | |
與那嶺 智子 | 八島 卓也 | |
角川 義樹 | ||
長嶺 さつき |
外来医師一覧
猪口 淳一 | 科長・教授 | 泌尿生殖器癌、ロボット支援手術、腹腔鏡下手術、低侵襲手術 |
---|---|---|
仲西 昌太郎 | 講師・医局長 | 小児泌尿器科 |
木村 隆 | 講師・病棟医長 | 腎移植 |
芦刈 明日香 | 助教・外来医長 | 女性泌尿器科 |
與那嶺 智子 | 助教 | |
田中 慧 | 助教 | |
本永 葵 | 医員 | |
角川 義樹 | 医員 |
高度医療又は特徴的医療
- 腎臓疾患
- 性機能障害
- 腹腔鏡手術・ロボット支援手術
- 新生児腎不全
- 尿失禁防止手術・骨盤臓器脱手術
- 腎移植(生体、献腎)
- 腎・膀胱・前立腺・精巣腫瘍
- 尿路結石(PNL、TUL、溶解療法)
- 小児泌尿器科(尿道下裂、水腎症、逆流症)
代表的な疾病
→ ※日本泌尿器科学会『こんな症状があったら』もご参照ください
腎癌
腎臓は、肋骨の下端の高さ、背中側の左右両方にあるソラマメのような形をした、長さ10cm、幅5cm程度の臓器です。おもな働きは血液をこして尿を生成することです。また、血圧や造血に関するホルモンを産生する重要な役割も担っています。
腎臓に発生する腫瘍には、悪性腫瘍と良性腫瘍があります。それぞれを細かく説明すると多岐にわたるため、ここでは成人の腎臓に発生する悪性腫瘍の85-90%を占める淡明細胞型腎細胞癌に絞って解説します。
年齢別にみた腎癌の罹患率は50歳から70歳までが多く、死亡率は男性のほうが女性よりも高い(約3倍)です。喫煙と肥満、高血圧は腎癌のリスクを高めるとされます。また、長期間の透析歴は腎癌のリスクとして知られています。
腎癌の診断は、以前は血尿や腹部腫瘤、疼痛などの代表的な自覚症状が出てきてから診断されることが多かったですが、近年は、健診・人間ドックの普及により、より早期に発見されるようになってきています。
腎癌の治療は、明らかな遠隔転移がない場合の第一選択は手術で、腫瘍のある側の腎臓をすべて摘除するか、腫瘍のある部分を切除する(腎部分切除)方法があります。琉球大学病院では、いずれの方法も身体への負担の少ないロボットを用いた方法で主に実施しております。遠隔転移があった場合は、分子標的薬(癌の増殖や進展を抑える薬)や免疫チェックポイント阻害薬(自身の免疫力を高める治療)を組み合わせて治療を行います。
膀胱癌
膀胱は骨盤内にある臓器で、腎臓でつくられた尿が腎盂、尿管を経由して運ばれたあと一時的にためておく役割をもっています。膀胱を含め、腎盂、尿管と尿道の一部の内側は尿路上皮(以前は移行上皮と呼んでいた)という粘膜でおおわれています。この尿路上皮から発生する癌を尿路上皮癌と呼び、そのうち膀胱内にできたものを膀胱癌と呼びます。
膀胱癌は、男性に多く、また高齢になるほど多くなります。膀胱癌の原因として、喫煙が最も重要で、現在喫煙している人は吸わない人に比べ4倍、過去に喫煙した人は2.3倍膀胱癌になりやすいことが判明しています。症状として典型的なものは肉眼的あるいは顕微鏡的な血尿で80%以上の患者さんに認められます。
膀胱癌の診断は、尿検査や画像検査の他に、膀胱鏡という内視鏡検査にて行います。その上で、経尿道的膀胱腫瘍切除術により組織を切除摘出し、顕微鏡で癌細胞であること、さらに癌である場合にはその広がり、深さを病理検査によって診断します。
膀胱癌の治療方針は、癌の広がりと深さによって大きく異なり、手術療法(経尿道的手術、膀胱全摘除術)、薬物療法(膀胱腔内注入療法、全身化学療法、免疫療法)、放射線治療などを病状にあわせて選択していきます。転移がなく、癌が筋肉の層まで広がっている場合は膀胱全摘除術が標準的な治療となります。琉球大学病院では、体への負担が軽いロボット支援下膀胱全摘除術を行っています。
腎盂尿管癌
腎盂・尿管は腎臓で作られた尿を集め膀胱へ運ぶ管状の臓器で、その表面は尿路上皮という上皮細胞に覆われています。腎盂・尿管から発生するできもの(腫瘍)の75~80%は悪性腫瘍で、これらを「腎盂尿管癌」あるいは「上部尿路癌」と呼びます。腎盂尿管癌の20~50%程度は多発性で、腎盂尿管内での多発のほか、膀胱に同時あるいは後から癌が発生することが知られています。年齢は50~70歳代に多く、男女比は2~4:1で男性に多く見られます。
症状として最も多いのは血尿です。その他の症状としては、側腹部痛がみられることがありますが、近年では腹部超音波検査にて水腎症を指摘されて発見されることも多くなってきました。
腎盂尿管癌の治療方針は、癌の広がりと深さによって大きく異なります。したがって、治療方針を決定する際はくわしく検査を行い、検査結果を総合して病状を診断した上で最適な治療法を提示していきます。実際の治療法としては、転移がない場合は手術療法として腎臓から尿管をすべて摘出する腎尿管全摘除術が中心となります。琉球大学病院では体への負担が軽い軽いロボット支援下腎尿管全摘除術を行っています。その他、抗癌剤を使った全身化学療法や放射線療法などを病状にあわせて選択していきます。
前立腺癌
前立腺は男性だけにあり、精液の一部をつくる臓器です。前立腺は、膀胱の下で尿道を取り巻くように位置し、栗の実のような形をしています。この前立腺に癌が発生する病気が前立腺癌です。前立腺癌は、国内の男性の部位別癌罹患数の第一位の疾患となっており、部位別癌死亡数は、肺、大腸、胃、すい臓、肝臓に次いで6位です(2022年時点)。転移の無い状態(限局性前立腺癌)の5年相対生存率は99-100%とされていますが、転移があると53%まで低下します。前立腺癌の初期はまったく自覚症状がありませんので、早期発見として、PSA(前立腺特異抗原:Prostate Specific Antigen)が前立腺癌の腫瘍マーカーとして有用で、検診や人間ドックでも実施可能です。
前立腺癌を疑う場合、まず前立腺のMRIを行い、前立腺針生検にて顕微鏡的な検査(病理組織診断)で確定診断をします。CTや骨シンチグラフィで転移の有無を確認し、リスク分類をもとに治療方針を相談して決定します。
当院では、限局性前立腺癌に対してダヴィンチを用いたロボット支援前立腺全摘手術(RARP)と放射線治療が可能です。RARPによる性機能温存を目指した術式も、癌の広がり具合によりますが、積極的に行っています。放射線治療は、外照射治療IMRT(強度変調法放射線治療:Intensity Modulated Radiation Therapy)と密封小線源治療を行っています。直腸スペーサーを用いた、直腸への放射線照射がおよぶ事で生じる有害事象(放射線性直腸炎など)を低減する処置も行っています。
初期の前立腺癌はすべてが生命にかかわるものではなく、診断結果によっては余計な治療を行わず経過観察を行うアクティブサーベイランス療法を提示させていただくこともあります。
進行癌になると、骨転移やリンパ節転移が起きやすくなります。男性ホルモンを抑えるホルモン療法、抗癌剤治療を行いながら、骨転移に対する治療(痛みや骨折を抑える注射や放射線治療)を併用し、集学的治療を行います。
下部尿路機能障害
頻尿や尿意切迫・切迫性尿失禁を生じる過活動膀胱、男性の頻尿、尿勢低下、排尿困難などを生じる前立腺肥大症が中高年代に多い代表的な下部尿路症状です。夜間頻尿(夜間1回以上排尿に起きる)は、過活動膀胱や前立腺肥大症が原因のこともありますが、生活習慣病(肥満、高血圧、糖尿病など)の初期のサインだったり、腎機能低下や心疾患、睡眠時無呼吸症候群などが影響することもわかってきています。行動療法や生活指導に加えて種々の薬物療法を行っています。改善が乏しい場合は手術が適応となることがあります。薬物治療抵抗性の難治性過活動膀胱に対して、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法や仙骨神経刺激療法(SNM)も行っています。
また、頻尿、おしっこがたまったときに膀胱が痛くなる、排尿すると痛みが軽減する症状を特徴とする間質性膀胱炎に対する治療も行っています。特に膀胱粘膜に痛みの原因となる病変を有するハンナ型間質性膀胱炎は国の難病指定疾患となっておりますが、根治的な治療がないのが現状です。頻尿や疼痛を改善させる治療として、ジムソ(DMSO)膀胱内注入療法、入院・麻酔下での膀胱水圧拡張術+ハンナ病変電気焼灼術を行っています。
腹圧性尿失禁・骨盤臓器脱
腹圧性尿失禁と骨盤臓器脱はいずれも中高年代女性に多い疾患で、加齢と肥満、多産の方で発症リスクが高くなります。腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみ、椅子から立ち上がった時に尿が漏れるということが特徴です。腹圧性尿失禁に対する有効な薬物治療はないのが現状であり、尿道のしまりを鍛える骨盤底筋トレーニングや、肥満の方では骨盤底筋への負担を軽減するため体重の減量が有効です。それらによっても改善が乏しい場合は、当院では尿道つり上げ術(TOT・TVTという尿道を医療用テープでつり上げ固定する手術)を行っています。
骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤)はあまり聞きなじみがない方も多いと思いますが、隠れているだけで実は多い疾患です。ちつから子宮や膀胱・直腸がふくらんで出てきてピンポン玉大~ソフトボール大の大きさのものが股に挟まった状態となります。夕方になると症状が悪化し、脱により股の違和感、痛み、出血、頻尿、尿もれ、排尿困難、腰痛など種々の症状をきたします。ちつから脱出するようになると、薬や骨盤底筋トレーニングでの治療は困難で手術が必要です。当科では、メッシュを用いて膀胱や子宮周囲の弱くなった組織を補強する、腹腔鏡下仙骨腟固定術や経腟メッシュ手術(TVM)を行い、良好な治療結果を得ています。肛門から直腸が脱出してしまう直腸脱を合併する場合もありますが、消化器外科と協力して同時手術も行っています。
“おしも”の問題で羞恥心から周囲に相談ができず、自分だけがこんな症状なのかという不安が強いにも関わらず、どこに受診していいのかもわからずに治療が遅れてしまうことも多い疾患です。治療により生活の質が各段に向上することが見込まれますので、是非お近くの泌尿器科あるいは当科へご相談ください(当科受診には紹介状が必要です)。
精巣腫瘍
精巣は、男性ホルモンを分泌すると同時に、精子をつくる臓器です。精巣腫瘍は主に精子をつくる精母細胞から発生し、胚細胞腫瘍と呼ばれます。
発症率は人口10万人あたり約1-2人で、20歳~40歳代の青壮年期に大きなピークがあります。
精巣腫瘍のリスクとして代表的なものは停留精巣です。停留精巣を持つ男性はそうでない方に比べて2-8倍精巣腫瘍なりやすいと報告されています。
精巣腫瘍は、化学療法(抗癌剤治療)が効きやすい癌の一つであり、転移を有する進行癌であっても約80%は根治を目指せるとされています。しかし、他の癌腫と同様に早期発見・早期治療がベターであることは言うまでもありません。早期発見のために一番大事なことは、ご自身で時々陰嚢(精巣)を触診してみることです。精巣腫瘍の代表的な症状は無痛性の陰嚢腫大ですので、何か「こりっとしたもの」などを触れた場合は、まず早めにお近くの泌尿器科を受診して下さい。
副腎疾患
副腎は左右の腎臓の上方に、ちょうど腎臓が帽子をかぶる状態で存在しています。右は腎臓と肝臓、左は腎臓と脾臓の間の奥深いところにあります。その形は“ウニの身”のような形をしており、大きさは2~3cm、厚さが5mm程度の小さな臓器です。腎臓に接するようにする様にあることから副腎といわれていますが、その働きは全く違います。副腎の主な働きはさまざまな”ホルモン”を産生して、体のバランスや血圧の調整を行っています。
副腎の皮質からは主にアルドステロン、コルチゾール、髄質からはアドレナリンとノルアドレナリンというホルモンが分泌されています。これらのホルモンは、人が生きていくうえで重要な役割を担っています。副腎腫瘍は、副腎の皮質や髄質に発生する腫瘍のことで、ホルモンを産生する腫瘍もあれば産生しない腫瘍もあります。過剰に分泌されるホルモンの種類によって症状や病態などが異なるので、それぞれ原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫と名前がついています。健康診断やほかの病気の検査などで偶然見つかったものは副腎偶発腫瘍と呼ばれますが、ホルモン産生の有無や大きさなどを調べて治療方針が決められます。まれではありますが、副腎腫瘍の中に悪性のものがあり副腎癌と呼ばれます。ホルモンを産生する副腎腫瘍は、高血圧や糖尿病、電解質異常などを引き起こす原因になるため手術で摘出することを検討します。また一般的に4㎝以上の副腎腫瘍はホルモンを産生していなくても悪性の可能性があるため手術を検討することがあります。
腎移植
腎臓機能が廃絶・低下し体内の不要な代謝産物(尿毒素)を尿から排泄できなくなった状態を慢性腎不全と言い、その治療として血液透析、腹膜透析(CAPD)、腎移植の3つの方法があります。その中でも、腎移植は新しい腎臓を手術で移植することによって腎臓の機能を回復させる治療法です。腎不全の唯一の根治的治療法であり、他の2つの透析治療に比べると生存率がよく、食事制限や時間の制約も少なく生活の質も向上するといわれています。
腎移植には生体腎(生きている方から提供を受けたもの)もしくは、献腎(脳死や心肺停止後の方から提供を受けたもの)の2種類があります。生体腎移植の場合は6親等以内の血族もしくは3親等以内の姻族がドナーの条件です。ドナーは腎臓を提供できる十分な腎機能があることや体内に悪性疾患や未治療の感染症がないことが条件ですので、術前に人間ドックと同様の検査が必要です。血液型が異なっている場合も術前に抗体を除去することで腎移植は可能です。一方、献腎移植の場合は日本移植ネットワークに献腎移植の登録が必要ですが、現在待機期間が長くなっており、献腎移植をうけるまでおよそ15年程度の待機期間が必要です。腎移植の手術は自分の腎臓はさわることなく、骨盤内に腎臓を移植します。ドナーの腎臓の動静脈を自分の動静脈とつなぎ、また尿を運ぶ尿管を自分の膀胱につないで尿を産生できるようにします。人の体には、自分の組織でないものが入ると排除しようとする免疫というはたらきがあります。このため、腎移植の術後には免疫を抑える治療が必要になります。
尿路結石
腎臓~尿管~膀胱~尿道といった尿の通り道にできた結石のことです。尿路結石になりやすい年齢は、日本人の男性では40歳代、女性では50歳代が多いとされています。
結石のできた場所が腎臓や尿管の場合には上部尿路結石と呼び、膀胱や尿道の場合には下部尿路結石といいます。日本人では、尿路結石のうち95%以上が上部尿路結石であるといわれています。症状は結石の大きさや結石ができた場所によってさまざまです。腎結石は無症候のうちに経過することが多いのですが、尿の流れとともに尿管に落下すると背部痛や吐き気などの症状がでることがあります。結石がつまった状態で細菌感染などを併発し、高熱がでた場合は尿の流れをよくするような処置(尿管ステントや腎瘻)が必要になることがあります。膀胱結石、尿道結石では残尿感や排尿時痛といった膀胱刺激症状の他、尿が出にくくなるなどの症状がでることがあります。
結石の排出時には、通常、排尿痛や違和感を伴いますが、無自覚に排石されることもあります。
1㎝未満の小さな結石は自然に排石されることが期待できますが、長時間はまり込んでいる結石や大きな腎結石は自然にでることが期待できないため手術が必要になります。結石の種類はたくさんあり、シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石、尿酸結石、及びこれらが混在する結石が最も高頻度にみられます。また尿路感染によって形成されるリン酸マグネシウムアンモニウム結石や、また、遺伝性に発生するシスチン結石などもあります。結石の再発予防はできた結石の種類によって異なりますが、一般的には十分な水分摂取(2000ml目安)や夜遅い食事を控える事、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
小児泌尿器科
小児泌尿器科領域は非常に多岐にわたります。そのため、ここですべての疾患を説明することは困難です。このホームページをご覧の皆さまで小児泌尿器科領域にご興味を持っておられる方がいましたら、下記のホームページを参照してみて下さい。小児泌尿器科領域について非常に分かりやすくまとまっております。
日本小児泌尿器科学会 Japanese Society of Pediatric Urology (jspu.jp)
https://jspu.jp
セカンドオピニオン外来
セカンドオピニオン外来とは
機関に入院又は通院されている患者様を対象に、患者様の主治医からの 情報等をもとに診断内容や治療等に対して本院の専門医の意見、判断 を提供いたします。その意見、判断を患者様がご自身の治療に際しての 参考にしていただくことが目的です。 セカンドオピニオン外来では、検査や治療は行わず、相談のみとなります ので、患者様の主治医からの情報提供書が必要となります。 セカンドオピニオン外来は完全予約制です。相談希望の方は、事前に お申込みが必要となります。
対象となる方
患者様ご本人の相談を原則とします。やむを得ぬ事情により患者様 ご本人が来院できない場合はご家族も対象としますが、ご家族のみの 場合、同意書(委任状)が必要です。
外来担当医
本院では、相談診療科の専門医が相談に応じます。相談内容により、 各科の連絡調整担当医が相談内容を判断し、専門性を考慮して決定 いたします。
お受けできない場合
下記の場合は、セカンドオピニオン外来をお受けできません。
- 医療費用の内容、医療給付に関わる相談
- 主治医に対する不満、医療過誤及び医療訴訟に関わる相談
- 主治医が了解していない場合
- 相談に必要な資料(診療情報提供書・検査データ・レントゲンフィルム 等)をお持ちでない場合
- 予約外の場合 ・転院希望の相談
相談時間及び費用
セカンドオピニオン外来の相談時間 1時間以内 16,500円 全額自費となります。(健康保険は適用されません)
持参していただくもの
- 申込書
- 診療情報提供書
- レントゲンフィルム
- 検査記録 など
※主治医からの情報や検査資料がない場合には、有効なセカンドオピニオンは提供できませんので、診療情報提供書、検査資料などは必ずお持ちください。※ご家族だけの相談の場合 同意書(委任状)が必要です。
申込方法
相談は完全予約制です。 琉球大学病院「→ セカンドオピニオン外来」をご参照ください。
NCDへの参加について
一般社団法人National Clinical Database (NCD)の手術・治療情報データベース事業への参加について
2018年4月 琉球大学病院 腎泌尿器外科
当科は、一般社団法人National Clinical Database (NCD)が実施するデータベース事業に参加しています。
この事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さんに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。
この法人における事業を通じて、患者さんにより適切な医療を提供するための医師の適性配置が検討出来るだけでなく、当科が患者さんに最善の医療を提供するための参考となる情報を得ることが出来ます。何卒趣旨を御理解の上、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
1.NCDに登録する情報の内容
2018年4月1日以降、当科で行われた手術と治療に関する情報、手術や治療の効果やリスクを検証するための情報(年齢や身長、体重など)を登録します。NCDに患者さんのお名前を登録することはなく、氏名とは関係ないIDを用いて登録します。IDと患者さんを結び付ける対応表は当科で厳重に管理し、NCDには提供しません。
2.登録する情報の管理・結果の公表
登録する情報は、それ自体で患者さん個人を容易に特定することは出来ないものですが、患者さんに関わる重要な情報ですので厳重に管理いたします。
当科及びNCDでは登録する情報の管理にあたって、情報の取り扱いや安全管理に関する法令や取り決め(「個人情報の保護に関する法律」、「人を対象とした医学系研究に関する倫理指針」、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等)を遵守しています。
データの公表にあたっては、NCDが承認した情報のみが集計データとして公表されます。登録するデータがどなたのものであるか特定されることはありません。
3.NCD担当者の訪問による登録データ確認への協力
当科からNCDへ登録した情報が正しいかどうかを確認するため、NCDの担当者が患者さんのカルテや診療記録を閲覧することがあります。
当科がこの調査に協力する際は、NCDの担当者と守秘義務に関する取り決めを結び、患者さんとIDの対応表や氏名など患者さんを特定する情報を院外へ持ち出したり、口外したりすることは禁じます。
本事業への参加に関して御質問がある場合は、当科のスタッフにお伝えください。 また、より詳細な情報は下記に掲載されていますので、そちらもご覧ください。
臨床研究について
臨床研究
- 腎移植における臨床的研究(代表研究)
- 転移性腎癌治療の臨床的研究(代表研究)
- 腹腔鏡下手術の技術向上および技術指導の研究(代表研究)
- 前立腺癌治療におけるQOLに関する観察研究(代表研究)
- 尿路悪性腫瘍骨転移症例における、denosumabへの切り替え後の骨関連事象(SRE)の予防効果と安全性の検討
- 泌尿器系癌における炎症の役割
- 夜間頻尿の疫学調査
- 骨盤臓器脱の遺伝学的背景
- 弾性ストッキング装着による夜間頻尿減少効果に関する介入研究
多施設共同研究(分担研究)
- 進行性腎細胞癌に対するIL-2+IFN-alpha+tegafur uracil療法(IAT療法)第II相試験
- 腎細胞癌有転移症例に対するSunitinib、Sorafenibクロスオーバー、ランダム化試験(CROSS-J-RCC試験)
- 腎移植におけるミゾリビン・シクロスポリン(ネオ―ラル)・バシリキシマブ・ステロイド剤との併用療法の多施設共同研究
- 早期前立腺癌に対するPSA監視療法国際共同比較研究
- 高リスク前立腺癌に対する小線源・外照射併用放射線療法における補助ホルモン治療の有効性に関する臨床研究(TRIP試験)
- わが国の膀胱尿管逆流症患児に関する多施設共同の長期プロスペク
ティブスタディー - 九州地区における後腹膜腫瘍の実態調査
- ソラフェニブ、スニチニブの効果予測バイオマーカーの探索 (CROSS-J-RCC付帯研究)
- 小径(4cm以下) 腎癌の予後規定因子に関する検討
- 夜間頻尿を有する前立腺肥大症患者に対する薬物療法の効果と機序に関する研究
- 本邦における清掃腫瘍患者レジストリの作成およびコホート研究の基盤創出
- 尿膜管疾患に対する腹腔鏡下尿膜管摘出術に関する全国調査
- 上部尿路結石症に対する経尿道的尿路結石砕石術における周術期合併症と術後尿管狭窄に関する全国調査
- 非転移性の非淡明細胞癌における根治術後長期無再発生存率の大規模多施設後方視的研究
多施設共同研究(代表研究)
- 腹圧性尿失禁患者を対象とした磁気刺激装置効果に関する介入研究
- 間質性膀胱炎発症・増悪における炎症の役割
- 夜尿症と夜間頻尿との関連
※以上の項に関してご質問等のある方は、担当医へお問い合わせください
研究情報の公開について(オプトアウト)
通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用い研究等については、国が定めた指針に基づき「対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありません」が、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開し、さらに拒否の機会を保障することが必要とされております。
このような手法を「オプトアウト」と言います。オプトアウトを用いた臨床研究は下記の通りです。なお、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている担当者まで連絡ください。